かご編み作家・YOSHIKOさんインタビュー

2015.4.21

コシラエル本店での記念すべき第一回目の展示は、かご編み作家YOSHIKOさん。女の子なら誰もが夢中になれる要素でいっぱいの作品は、私たちの心を掴んで離しません。では、そんな作品を生むYOSHIKOさんとは一体どんなお方なのでしょうか?さつまいもが有名だという、埼玉県の川越が生んだ、愉快で可愛らしいYOSHIKOさんの魅力を是非ご堪能あれ。

YOSHIKO 齊藤美子 2003年にオリジナルブランド「YOSHIKO」をスタート。自らが 籐を編むことで様々なものを制作する。ブランド 発足以来、オブジェのようなバッグを次々と発表。現在は身にまとうことのできるアクセサリーや、ミラー等のインテリアグッズも多く発表している。セレクトショップでの販売の他、展覧会やワークショップも開催している。


_では、まずYOSHIKOさんの小さい頃をお伺いしたいのですが。

YOSHIKO(以下Y):小さい頃は、一個上のお姉ちゃんと双子のように遊んでいました。お姉ちゃんと一緒に「今日はどこいこっか?」って友達同士のように話し合いながら、「じゃあ、今日はここに行こう、この遊びしよう」って。そういうのがとても楽しかったんです。

_現在では、かご編み作家さんということで、ものづくりをしてらっしゃいますが、小さい頃からものづくりなどが好きだったのでしょうか。

Y:小さい頃は、裁縫よりも工作が好きでした。裁縫が好きになったのは、中学生や高校生になってからです。大学も最初は、家庭科の先生になりたい人が多く行く学校に通っていました。そこでは、知識を「広く、浅く」をモットーに勉強していて。「これじゃいかんと」思って、服飾の専門学校に入り直したんです。

_デザイナーなどになりたい!と思ってらっしゃったのですか。

Y:大学時代は、よくフリマをしていましたね。布を買って、パッチワークをしたりして、それを千円や二千円で売って‥という感じで。でも、お仕事にするには無理があるし、デザイナーとして働くなら、もうちょっと頑張らないとな、と思って。デザイナーになりたい、と強く思っていたわけではないのですが、就活の時にみんな何になろうと思っているのかがわからなくて。周りは、家庭科の先生を目指す人が多かったけれど、わたしは先生にも販売員にもなりたいわけじゃないし、それならもっと勉強しようと思って、専門学校に進学したんです。

_では、今年でかご編み作家になられて何年目ですか。

Y:12年目ですね。学生の時からやっていましたし。でも、これが自分に本当に合っているかはわからないですけどね。会社員になりたいと思って学校に入り直しましたから、会社員リスペクトです。

_学生時代はどのような生活だったのでしょうか。

Y:高校生の頃から、学校が終わったら最速で学校を出て、早く電車に乗って帰るようにしていました。それで、「何時の電車に乗れば、このアニメの再放送がみれる!もし、この電車を逃したら今日はみれないな。」みたいな感じで。それを生きがいにしていました。わたしが好きなアニメって、みんなが知っているアニメなんです。それに、録画とかしないんです。もし、みれなかったらみない、という感じで。だって、録画しても結局いつでもみれるって思ってみないじゃないですか。そういう油断がいかん、と思って。再放送でもリアルタイムを「全力で!」を目標にしていますよ、今でもそうです。

_なるほど。では、部活などはされていなかったのですか。

Y:部活とかはやっていませんでした。急に一生懸命やらなきゃいけない、ということがどうかな、と思って。やらなくて怒られるのは嫌だけど、やらなくても怒られないならやりたくない、と思ったんです。怒られるのは嫌ですからね。

_コシラエルのひがしちかとの出会いはいつ頃だったのですか。

Y:ちかさんのことはずっと知っていました。ですが、お会いしたことはなくて。去年の夏、ちかさんが本を出した時の出版記念パーティーに、わたしも知り合いに誘われて出席したんです。その時に初めてお会いしたんですけれど、ちかさんがわたしのこと知ってると思わなくて、驚きました。「ちかさん、わたしのこと知ってるんだ!」って。わたしは、絶対自分が作りたいと思ったものしか作らないっていうわけではなく、お題を出されたらそれをやるっていうスタンスなので、ちかさんからハンドル作りの提案をされた時、「やってみよう」って思いました。きっと、ちかさんにハンドルやりましょうって言われなかったら死ぬまで作らなかったと思うし‥。なので、今回こうしてできてよかったです。

_個性を全面に出して作品作りをする方が多い中で、珍しいスタンスのように感じます。

Y:自分が見てる世界が全部じゃないし、わたしはチームでやっているわけでもないので、自分がかっこいいと思っていることが、実はそんなにかっこよくないかもしれないっていう思いがあるんです。わたしは、「今の時代にわかってもらえないことも、いつかの時代にわかってもらえればいい」と思っているわけではないので、「今これを作ったらかっこいいと思いますよ」ってかっこいい人に言われれば、「じゃあそれを作ります、作ってみたいです」ってなるんです。

_製作中は何か考えていらっしゃるのですか。

Y:1個目の作品を作るときは、いろいろ考えて試行錯誤するけれど、それができると、あとはただただ作っていくだけです。1個目の作品を作るときは、ただただ自画自賛です。「おおー!」って。ラフ画などは書きません。こういう感じで、こういうボリュームで、くらいのイメージはありますけれど‥。

_では、今回コシラエルとのコラボ作品の、傘のオブジェでのポイントはありますか。

Y:はじめに、ちかさんから色々なハンドルのサンプルを借りてきて、試作的に編んでみたものを紛れ込ませてみました。「コシラエルの魂、受け取りました!」っていうイメージで。

_このオブジェはどれくらいの期間で作ったのですか。

Y:一ヶ月くらいですね。ちょっと作って、少しおいて、また作ってという感じで製作しています。毎日毎日5時間作る!みたいな感じではないです。

_日々の癒しはなんでしょうか。

Y:漫画が好きなんですけど、おしゃれな少女漫画よりも、コナンやクッキングパパのような感じの漫画が好きです。それらを、買ってきて読んで、部屋に置いておいて、また忘れた頃に読む、みたいな。ちょっと疲れると、引っ張り出してきて、知っている話をまた読んでまた本棚に戻す、みたいな。くつろぐ時に好きな音楽を聴くように、知っている話をまた読むことで安定しているんだと思います。本屋さんなどでも、元気がない時に新しく元気が出る本を買おうと思っても、結局何も買わずに出ちゃう。そして、家に帰って持っている本を読むんです。その方が、気分転換になるし、日々の楽しみになっています。

_本当にアニメや漫画がお好きなんですね。

Y:小学校5、6年の頃とかは、日曜日18時からちびまる子ちゃん、18時半からサザエさん、19時からキテレツ大百科、19時半から名作劇場って2時間まるまるアニメをみれるのが、すごい!って思ってたんです。でも、その頃ちょっと大人っぽい友達に「いつも何のテレビみてるの」って聞いてみたら「低学年のときは、アニメが好きだったけど、今はアニメを2時間続けてみるとか無理」って言われて、衝撃を受けました。みんな、みるものだと思っていたので。「これからは、あんまりアニメのことを言うのやめよう」って思ったのを覚えています。

_では、今回の展示に向けて何か思いはありますか。

Y:今回は、作品だけではなく、普段わたしの家にあるような漫画なども持ってきているので、そういうところも楽しんでもらえたらなと思います。最近では、展示会でも作品だけが「YOSHIKO」って一人歩きしていて。みている方から「これ、どこの国で作ってもらってるの」って聞かれることもあります。そういう方は、だいたいそのまま通り過ぎていっちゃうんですけど。わたしの作品は、愉快に暮らしているYOSHIKOが作っているっていうのを見てもらえたらいいなって思います。

_今後の目標などはありますか。

Y:自分だけではなく、周りからのアドバイスも受けつつ、かご編み作家として作っていけたらなあと思います。


YOSHIKOさんの魅力は計り知れない。人懐っこい笑顔と、まるでサザエさんやちびまる子ちゃんの世界に出てきそうなお人柄にすごく惹きつけられる。作品も、お人と同じ。人懐っこくて、そしてユニークで。柔軟性のある発想の中にも、YOSHIKOさんのプロ精神が見え隠れする。「可愛い」は「可愛い」だけから作られるわけではない。愉快なかご編み作家YOSHIKOさんから今後も目が離せない。

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